2019年02月28日
消費税8%と10%、どっちで家を建てるのがおトクか
税率10%になると、2700万円の家が2750万円に
今年10月に予定されている消費税10%への引上げ。税別2500万円の家を建てると、今なら税込み2700万円ですが、10%になると税込み2750万円となり、なんと50万円もアップします。
注文住宅の場合、今年3月31日までに工務店と建築工事請負契約を結べば、完成時期が10月以降にずれても税率が8%になることが決まっています。しかし、4月1日以降に契約して完成引き渡しが10月1日以降になれば税率は10%になります。
これから注文住宅で家を建てようとするみなさんが一番気になるのは、「8%の今、家を建てる契約するのがいいのか、それとも10%になってからの方がいいのか」でしょう。
普通に考えれば、8%で建てた方が得なのですが、前回5%から8%に消費税が上がった時、住宅業界は税率引き上げ前にドドッと駆け込み需要があって忙しくなり、そのあとは大幅な受注の落ち込みを経験。一時的に業界が不況になったほどです。
そこで、住宅会社の業界団体が協力し合って、「受注が激増→激減」といったことにならないよう、政府に政策上の配慮を求めていました。
その結果、消費税が10%になっても損にならない政策を打ち出したのです。
具体的な内容は、これから紹介します。
税率10%で家を建てても得する3つの理由
今年4月以降に工務店と建設工事請負契約を結び、完成引き渡しが10月以降の場合に、以下の3つの特典があります。
1.住まい給付金の最大額が30万円から50万円に増え、受給対象となる年収上限が引き上げられ、対象者が増えます
2.住宅ローン減税制度が拡充され、還付金が増えます
3.次世代住宅エコポイント制度が創設されます
この3つの政策により、ローン金額や返済年数にもよりますが、概ね10%になった方が若干得するようになりました。つまり、今から慌てて工務店と契約する必要はありません。
次世代住宅エコポイントは、従来の住宅エコポイントが復活した形です。省エネ基準など一定の性能以上の住宅に30万ポイント発行されます。さらにビルトイン食器洗機や掃除しやすいトイレ、宅配ボックスなど、家事負担を軽減する機器・設備にもポイントが付き、また長期優良住宅やZEHに対しても優遇措置があるため、合計すると最大35万ポイント発行できます。
1ポイント=1円相当ですが、現時点でどのような形で還元されるかは決定していません。
8%と10%でおトク額を比較シミュレーションしてみた
ここでは仮に、2500万円を借り入れ、30年返済、利率は1.31%(フラット35の2月金利)として簡易シミュレーションしてみました。
シミュレーションは、価格com(http://kakaku.com/housing-loan/koujo_simulation.asp)で行っています。なお、ローン減税の延長は確定したわけではないので、シミュレーション条件として入力できません。3年間のローン減税額は仮にローン全体の2%相当として計算しています。また、シミュレーション結果は、簡易計算法によるもので、実際の控除額と異なる場合があります。
<試算の前提条件>
世帯年収500万円(税込み)
家族構成 夫婦+子1人(15歳以下)の3人家族
融資金額2500万円
返済年数30年
利率1.31%
【8%時に契約(2019年3月31日)し、2019年9月に入居する場合】
ローン控除額 210.3万円
すまい給付金 10万円
合 計 220.3万円分お得
【10%時に契約(2019年4月1日)し、2019年10月に入居する場合】
ローン控除額 210.3万円+3年間延長で約50万円=約260万円分お得
すまい給付金 40万円
住宅エコポイント 35万円相当の製品・サービスと交換(詳細は決定していません)
合 計 300万円+35万円相当の製品・サービス=335万円分お得
比較すると、10%になった方が約115万円もおトクになります。
税率アップで50万円高くなりますが、115万円おトクになるのなら、差し引いても65万円分おトクです。
税率アップより金利アップの方が問題
しかし、このシミュレーションは、ずっと住宅価格が同じ、という前提です。
半年先も1年先も住宅工事の価格が現在と同じという保証はありません。
なぜなら、建材や建築設備によく使われる石油化学製品の価格が高騰し、職人不足による人件費の上昇などを背景に、住宅価格は値上がり気味だからです。
道内では、消費税率5%時の2013年に比べると、住宅の工事価格は税込みで15%前後上昇したと言われています。さらにこれから土地を購入する場合、土地価格の高騰も頭に入れる必要があります。十勝でも帯広市内は人気の場所は値上がり気味ですし、なにより売り出す土地がなかなか出てこないという状況です。
昨年も樹脂サッシ、壁紙、断熱材、室内ドア、フローリングなどさまざまな建材が値上がりしました。今年の住宅価格がどうなるかについては、現時点では予想できません。木材や石油化学製品の価格は為替動向にも影響されるからです。
さらに、金利動向も気になります。現在はマイナス金利政策のおかげで住宅ローンはかつてない超低金利で借りられますが、この政策も東京オリンピック前後で終わるのではないか、という見方もあります。金利が1%上がって2.31%になったら、総支払額は400万円以上も増えます。消費税増税よりもこちらのリスクの方を深刻に受け止めた方が良いと思います。
結論:4月以降に契約してOKだけど、見積価格の値上げや金利動向に注意
ここで、今回の話をまとめます。
現在、家づくりを考えている方は、焦って3月31日までに工務店と契約する必要はありません。税率が10%になっても、税率アップの差額を補う分の還元が政府の施策によって行われる予定ですので心配はありません。
ただし、建材価格や人件費、土地価格の上昇が続く可能性がありますので、先延ばしした方がおトクとも言えません。また、次世代住宅エコポイントは現時点では2020年3月までの時限措置です。2020年4月以降はこうした増税に伴う緩和措置が縮小される可能性もあります。今年1年でしっかり家づくりの方向性を定め、お早めに十勝2×4協会の会員工務店にご相談ください。
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