2018年06月28日
十勝2×4協会 40周年記念行事その2 カナダ住宅セミナーを開きました
十勝2×4協会では6月19日、設立40周年記念行事の1つとして、カナダ在住の伊藤公久(キミ伊藤)氏を講師に招いて帯広市百年記念館で研修会を開きました。
研修会のテーマは、ツーバイフォー建築の本場・カナダで耐震性を確保するためにどのようなルールで建築しているのか、そして日本がZEH(ゼロエネルギー住宅)を推進しようとする中、カナダの取り組みはどうなのか、という2つ。
赤坂正会長
奇しくも前日の18日朝、大阪で思いも寄らない震度6弱の大地震があったばかり。赤坂正会長は、研修会冒頭のあいさつで「まずは、大阪北部の大地震で亡くなられた方に哀悼の意を表します」と話した上で、協会とカナダとのつながりを説明。そして、伊藤氏が登壇しました。
伊藤氏は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州立大学で木造建築構造力学を専攻して卒業。その後、木造建築の構造設計、住宅建築の省エネルギーコンサルタントを主な業務とするK.ITO&ASSOCIATES LTD.を設立。同州のバンクーバーでサスナビリティーを目指した建築設計・施工管理に取り組んできました。
こうした経験を生かし、北海道内でカナダの技術・基準によるスーパーEハウスやネットゼロエネルギーハウスの設計・アドバイスなども行ってきました。帯広にもこれまで何度も訪れており、当会との交流も古くからあります。
会場には、会員だけでなく道内各地からも参加者があった
伊藤氏は、耐震性の確保に関連し、住宅でもっとも重要なのは「『命を守る』こと。そのためには、大地震で倒壊しない耐震性だけでなく、住める状態で残ること、また経年劣化による老朽化を防ぐことで長く安全に住めることも必要。そこで、基礎のきちんとした設計や防湿措置などが大切になり、大きな揺れを受けたときに建物が浮き上がらないよう基礎と緊結する金物が必要」と話しました。
ネットゼロエネルギーハウスについて、カナダでは2030年をメドに、新築建物は全てネットゼロレディー(ネットゼロ建物の準備ができている)にするという方針を説明。その上で、ブリティッシュコンロビア州では、目標到達を2032年にずらしています。その理由は、ネットゼロエネルギー住宅の技術者養成が急務であり、そのために時間が必要なんだそうです。
ブリティッシュコロンビア州が定めたネットゼロレディハウスの目標
日本では2020年に新築住宅の半数をZEH(ネットゼロエネルギー住宅)にするという目標があります。ただし、これは義務ではなく、努力目標です。また、戸建住宅以外のマンションやアパート、さらに店舗など住宅でない建築についてはZEHの具体的な目標数字は決まっていません。
これに対してカナダでは、お金のかかる太陽光発電システムの搭載を求めない代わりに、今以上の高断熱化と・高効率設備の採用でエネルギー消費を大幅に減らすネットゼロレディを全ての新築建物に義務化すると宣言しました。アパートや商業建築も全て対象となります。日本で2020年に全ての建物に義務化されるのは、現行の省エネ基準をクリアすることだけです。そう考えると、カナダは日本よりもずっと厳しい目標を立てていることがわかります。
実はカナダでは、石油ショック以降にR-2000住宅やスーパーEハウスといった省エネ住宅の目標を作り、日本よりも高性能な家づくりを進めてきました。そうした歴史があるからこそ、高い目標を設定できるのです。
十勝2×4協会では、こうした先進的な事例を学びながら、自主的に地球環境にやさしいCO2を出さない家づくりを進めていきたいと考えています。
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(2018年6月28日 17:48)トラックバック(0)
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