2014年01月13日
職人不足の状態続く
大工や専門工事業者などの職人不足が住宅供給業者にとっても経営リスクになりつつある。本格的な冬の到来を前に、つい最近まで基礎工事業者の争奪戦が繰り広げられた地域も。
慌ただしさに翻弄(ほんろう)された1年、「(根雪になって)現場(の進捗)をあきらめれば(慌
ただしさも)やっとひと息」との声さえ聞かれる。
総額5兆円超の経済対策が大詰めを迎え、2年連続の15ゕ月予算で消化し切れない公共工事
が職人不足に拍車を掛ける。来年夏場まで駆け込み契約物件の現場を抱える住宅会社も多く、
年初から大工職人の手当てや専門工事業者の確保に神経を使う機会が増えそうだ。
「基礎工事業者が忙しく順番待ちで、現場が止まっている」。今春、旭川市内の老舗工務店
からそんな話を聞いた。
いまも状況が変わらない。北見市内の中堅工務店は「根雪になるのを前に基礎工事業者の
奪い合いが続いている」と疲れた表情。
札幌市内でも杭工事は1ヵ月以上前から予約しないと工程が組めない。生コンの値上がりで
原価管理に頭を悩まし、専門工事業者の手配が付かず工程管理に苦慮する。多くの住宅会社
がイライラを募らせている。
■労務外注費57%
慌ただしい1年。その要因は冬の豪雪、消費増税前の駆け込み、アベノミクスによる公共
工事費の大幅増など、様々。
結果的に、大工職人の手当てや専門工事業者の確保に要した手間や労力が、工程・工期や
工事原価の管理に皺寄せされ、資材価格の高騰も重なって粗利益率を削り取っていく。
帝国データバンクが道内未上場建設業(156社)を対象に実施した実態調査によると、2012
(平成24)年度の売上高に占める労務外注費の割合は57・3%。前年度比1ポイント上昇した。
今春、国の公共労務単価が全職種で平均15%増額(被災地21%増)した。しかし、重層下請
の業界構造に吸い込まれ、元請の外注費は増えたが、その恩恵はなかなか下請にまで及ばず、
賃金だけで職人不足に歯止めは掛からない。
まして住宅の場合、大工職人の手が足りないと応援大工を頼んでも、技量が伴わなければ、
クレームの温床となるだけ。職人不足が住宅供給業者にとっても経営リスクになりつつある。
■10年間で4割減
データは残酷だ。国勢調査の年齢区分別建設業就業者数を基にした将来推計によると、10年
前の2005(平成17)年に約500万人だった全国の建設業就業者数は、2015(平成27)年が
約380万人、2025(平成37)年は約300万人で、20年間で4割も減少する。
全建総連北海道建設労働組合連合会の賃金等生活実態調査によると、大工職人(従業員
大工・一人親方)の平均年齢は48・9歳。10年後にはリタイアするだろう55歳以上が41・9%
を占めている。
若年者の入職難が続けば、全国の就業者数予測通り、道内の大工職人も10年後に4割減る。
長期的に減少傾向を辿(たど)る職人不足を目前に控え、大手ハウスメーカーも動き出した。
長期的に減少傾向を辿(たど)る職人不足を目前に控え、大手ハウスメーカーも動き出した。
そのひとつが建売住宅の供給体制強化だ。
注文住宅にこだわりが少ない若年層の購買志向をシフトしたものだが、年間を通して現場施工
を平準化し、端境期にも仕事を与えて離職を防ぐのも狙いのひとつ。
職人不足は住宅業界にも様々な影響を及ぼす。(北海道住宅通信社より)
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