2013年12月17日
消費税UP後の住宅建設はいかに
旧税率適用の経過措置期間が終了した翌日の10月1日、閣議決定された消費税率8%への引き上げ。本年度上期(4~9月)の受注・契約状況はどうだったのか。北海道住宅通信社は、消費増税時の住宅市況を占うことを目的に、道内の注文住宅の建築確認ランキング上位30社を対象に、緊急の聞き取り調査を実施した。本州系大手ハウスメーカーや地場大手・中堅ビルダーの4~9月受注状況は契約ベースで軒並み前年同期比2ケタの増加となった。9月単月でみると最大で40%超の増加になったところも。一方で、10月単月は最大で25%減少しており、消費税率引き上げをめぐる道内市況の浮沈が明瞭になった。聞き取り調査は、旧税率適用の経過措置が終了した9月末までの集客・受注状況を基に、駆け込み契約のボリュームを把握するのが目的。同時に10月以降の受注状況の変化を聞き取り、消費税率の引き上げが実施される来年の道内市況を占ってみた。
■「実質2週間だけ」
本州系大手ハウスメーカーや地場大手・中堅ビルダーの4~9月受注状況は契約ベースで、前年同期比10~30%の大幅増となった。
9月単月で同43%増となった大手ハウスメーカーは「9月に入って真剣に検討する顧客が急増した」という。モデルハウスの来場者数が8月以降、減少傾向をたどり、契約客からの「消費税率アップが(契約の)決め手」との声がそれほど聞かれなかっただけに、営業的な実感としては「駆け込みがあったのは9月下旬の2週間だけ」。
それだけハッパを掛けて短期間に駆け込み客の刈取りに注力したのも事実。「営業マンは9月末までの契約に力を使い果たした」との声も。
■限定商品を発売
一方、10月の受注状況は契約ベースで前年同期比5~25%の減少に。集客ベースでも10%程度減少しており、結果的に駆け込み契約の反動で一服感が漂っている。
大手ハウスメーカー各社はいずれも数多くの受注残を持って下期に入ったが、顧客の多くが冬季施工を嫌うこともあって「9月末までの契約客のうち、3割は来春着工」「11月以降の契約は確実に来年4月以降の引渡し」と口を揃える。
これまで「契約客の平均年収が650万円」という大手ハウスメーカーは、4月以降の契約客を年収別に集計したところ、400万円前後の客層が予想以上に多かったことから、すまい給付金の対象となる年収510万円以下をターゲットにした限定商品を急遽、発売したという。
建て替え客が増えたという回答も。建て替え客は慌てて建てる必要がない半面、消費増税のようなきっかけがないと動かないケースが多く、それが「駆け込みの余波で動いた」。
施工体制に遅延はなく「11月中であれば来年3月竣工分をあと10棟は契約可能」というメーカーもあるが、当面は各メーカーとも「残っている自社分譲地に建売住宅を建てて(年度内の購入客に向けた)集客につなげたい」と最後の刈取りに余念がない。
■再び買い時ムード
消費増税に伴う住宅着工の落ち込みを少しでも防ぐため、国は住宅ローン減税やすまい給付金などの負担軽減策を講じることから、各メーカーとも「(消費増税後でも大きな負担増にならないと)9月末までの契約を見送った顧客も少なくない」とみている。
半面、来年4月から食料品や光熱費など生活全般に消費増税の影響は及び、「住宅需要の減退につながる」とみているところも。
その結果、来年の受注見通しとして各メーカーとも、契約ベースで「5~10%のダウンを覚悟している」。
一方で、消費税率8%の引き上げが正式決定したことで「10%への引上げに向けた(消費増税の新たな)道筋が見えてきた」という見方も。
「消費税率が10%に引き上げられる前に家を建てたい」という潜在客は多いとみて、来年以降に再び「今が買い時」のムードが出てくると期待している。
それを受注につなげるかどうかは「(営業マンの)マンパワー次第」。各メーカーとも主力のターゲット層の受注が落ちても、新商品のラインアップで新たな顧客層を掘り起し、「最低でも前年並みの受注量を確保したい」と戦略を練っている。(北海道住宅通信社より)
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