2012年11月15日
HEMSと冬の節電対策
いよいよ"待ったなし"冬の節電北海道では、冬の電力需給が足りなくなる恐れがあるとして、今シーズンに7%の節電を求められ
ています。冬の節電は夏よりもはるかに切実。寒さとの闘いがあるからです。
北海道電力の資料によると、冬の電力需要のピーク時間帯は夏とほぼ同じで18時前後なのです
が、深夜時間帯はグンと少なくなる夏と違い、夜中でもピーク時からあまり下がらないのが特徴で
す。過去最大だった2010年度には、夜中の12時でも500万kW以上電力消費があった日もありま
す。これは夏の過去最大のピーク時よりも多い数値。
その原因は暖房需要です。電気パネルヒーターや、割安な深夜電力を使って夜の間に蓄熱して
日中放熱する「蓄熱暖房」が普及し、特に石油価格が大幅に上がった数年前から普及が加速し
ました。
暖房は、新築住宅でも1時間あたり5~10kW/hの電力を消費し、冷房と違って24時間必要です。
それで深夜帯から早朝にかけても電力需要が減らないのです。夏ならこの時間帯は大きく電力
需要が減り、300万kW台になります。さらに蓄熱暖房は、24時間分の暖房に必要な熱を、3分
の1の夜間8時間で内部の蓄熱レンガに貯め込みます。ということは、夜間に通常の暖房に必要
な電力の3倍消費することになります。
期待されるHEMSですが
こうした電力需要を家庭内でコントロールするため、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)と
いう仕組みが最近注目されています。
初期の製品はリアルタイムで電力の使用状況を「見える化」し、利用者の節電意識を向上させ
ることが主な機能でした。最近は快適な生活を維持しながら、電力消費を自動的に抑える「最
適化制御」を行う第2世代の製品が増えてきました。
蓄熱暖房機や電気温水器はこの最適化制御の対象には今のところなっていません。しかし蓄
熱暖房機がある一般家庭では、夜間に15000~25000W/h(15~25kW/h)という大きな電力を
消費しています。大型液晶テレビや冷蔵庫が消費する200W/hとは2ケタも消費電力が違いま
す。うまく制御して電力需要を抑えることはできないものでしょうか。
テレビや冷蔵庫は、10年に1度ぐらいは買い替えしますので、その時に省エネ性の高い製品を
選べばかなり節電になります。冷蔵庫もテレビも10年前の約半分ぐらいに消費電力が減ってい
るからです。
一方、暖房は全部屋に必要なため大がかりで、電化製品のように気軽に買い替えで省エネする
ことは難しいのです。そこで新築する時になるべく効率の良い暖房を入れることが先決です。最
近は効率の良いヒートポンプ暖房が普及し始めています。十勝の寒さではカタログ値ほどの効率
は期待できませんが、今後普及が期待される暖房方法です。
また、蓄熱する時間帯を利用者によって少しずつずらしたりするなどの工夫を行えば、夜間電力
需要のピークを抑えることも可能でしょう。天気予報などと連動して、翌朝の蓄熱量を加減するな
どITを活用した制御も可能性があります。
住宅の性能アップが近道
さて、こうした設備の工夫も大事ですが、住宅そのものの性能を向上させることも大事です。北海
道が推奨する「北方型ECO」性能レベルの家では、国の次世代省エネ基準の家に比べて2割
以上暖房費を減らせます。
こうした性能の高い家では、暖房設備を減らせるため、今まで補助的な暖房と思われていたエア
コン暖房などでも十分実用になるかもしれません。さらに、十勝では冬の日射量が多いため、南
面の窓を少し大きめにすることでさらに暖房費を減らせる可能性があります。
HEMSは家庭内で使用するエネルギーを1割程度減らす効果があると言われていますが、これ
に加え、充実した断熱・気密性能と自然の力を利用する家づくり。それが、限りある資源やエネ
ルギーを有効に使うことになります。来年に向けて家づくりを考えている方は、ぜひこうしたエネ
ルギーをムダにしない家づくりをご検討ください。十勝2×4協会の会員なら、気軽に相談に乗っ
てもらえます。
(き)
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(2012年11月15日 19:08)トラックバック(0)
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