2012年08月27日
国産材普及に逆風が吹く?
政府は、国産材普及にさまざまな補助金をつけてやろうとしています。先日話が出た農林水産省の「国産材エコポイント」もその一環でしょう。
その話は、ひょっとするとロシアの変化と関係があるのかもしれません。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/boutai/pdf/120824-01.pdf
これは、林野庁に載っていた情報ですが、ロシアがいつの間にかWTO(世界貿易機構)
に加盟し、関税を下げるのだそうです。
WTOに加盟すれば、勝手に関税を変えられなくなるので80%なんて高額関税はまず
やらないでしょう。そして、表を見ると輸出割当量を増やして関税も下げてくるのです。
確か数年前は「資源保護のために丸太に80%の関税をかける」なんて話が出て
いました。しかし、リーマンショックなどもあって景気が冷え込んだために延期と
なってました。
国産材の普及率は数年前に最低となりましたが、ここ数年政府の補助金策などもあって
少し回復していました。しかし、これは国産材普及に逆風が吹きかねない状況です。
補助金で国産材を使ってもらおう、というやり方は悪くはありませんが、「補助金がなくな
れば使わない」「補助金の額が少なければやらない」という考えも生まれてきます。
国産材は為替の影響にかかわらず価格が一定しているというメリットがあったのですが、
現在では外材に押されて丸太の価格が暴落しています。樹種によっては外材よりも安く
なってしまっているそうです。山林を所有している人たちは、「国産材普及といっても丸太
の価格がこうも安くては」とため息をつく人もいるとか。
田中敦夫さんという方は、「だれが日本の『森』を殺すのか」というショッキングなタイトル
の本で、日本の森林経営の問題点と、その改善の可能性についてわかりやすく書いて
います。
この本が出版されてから7年が経ちますが、国産材を巡る状況は大きく変わってはいな
いと思います。
ちなみに、国産材を使うと家の値段が大幅に高くなると誤解している方もいますが、実際
は国産材を構造材に100%使った家で数十万円以内におさまると思います。
実は価格以外にも、「必要なときに必要な部材が手に入るか」に対して十分に応えられな
い場合があったり、普及を阻害する問題は単純ではないのです。
ただ、これから家を建てる人たちが「国産材で建てたい」という気持ちを多くもってくださる
人がいれば、なによりも大きな追い風となります。住宅会社もやりやすくなります。
難しい問題ですが、ひとりひとりに考えてほしい大切なことだと思います。
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(2012年8月27日 09:37)トラックバック(0)
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