2012年08月27日
省エネ基準見直し案提示、Q値"廃止"に異論も
経済産業省と国土交通省は8月21日、建物の省エネルギー基準を見直す両省合同会議の第1回会議を開き、見直し案を提示した。住宅に関しては、(1)設備機器のエネルギー消費量や太陽光発電などによるエネルギー創出量に基づいて、建物全体の一次エネルギー消費量を基準とする(2)建物の断熱性については現行基準と同等の性能を求めるが、性能の指標には現行の熱損失係数(Q値)ではなく、建物の外皮の平均熱貫流率(U値)を採用する、といった内容を盛り込んだ。両省は関係告示の年内の公布、施行を予定しているが、会議では見直しの内容に異論も出た。
合同会議は、経産省の総合資源エネルギー調査会住宅・建築物判断基準小委員会と、国交省の社会資本整備審議会省エネルギー判断基準等小委員会の各委員で構成している。後者の委員長の坂本雄三・建築研究所理事長が議長に就任した。委員の属性は学識経験者や、建築・不動産・建築設備・エネルギー関連の各団体の関係者などだ。8月31日の第2回会議、9月10日の第3回会議を経て新しい省エネ基準の案をまとめて、パブリックコメントに掛けることを予定している。途中で都市低炭素化促進法(都市の低炭素化の促進に関する法律)が成立した場合には、環境省の委員会も交えた3省合同会議で低炭素建物の認定基準も検討する。
3省は7月に「低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進方策について 中間とりまとめ」を公表した際に、次世代省エネ基準の通称で知られる現行の省エネ基準(1999年基準)を見直す方針を明らかにしていた。住宅については現行基準が建物の断熱性能(外皮性能)本位となっているのを改めて、設備の省エネや創エネの各性能も踏まえた一次エネルギー消費量本位とすることを方針の中に盛り込んでいた。
経産省と国交省がこれらの方針に沿って合同会議に出した見直し案の全体像が下の図だ。1999年基準では建築物(非住宅)と住宅の各省エネ基準を、省エネ法関連の別々の告示で定めているのに対し、見直し後の基準では関係告示を一本化しようとしている。ただし、分譲戸建て住宅を対象とするトップランナー基準(住宅事業建築主の判断基準)は2013年度を期限(目標年度)としているため、今回の見直しでは手を付けない方針だ。
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(2012年8月27日 08:01)トラックバック(0)
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