2011年02月24日
2×4耐火床面積、「非住宅」が増加傾向=特養の大規模需要背景に09年度は「住宅」と拮抗
(社)日本ツーバイフォー建築協会(2×4協会、小川修武会長)の会員会社が扱う2×4工法耐火建築物の用途別床面積構成比に、数年前から変化の兆しが現れている。一般住宅が対象の「専用住宅」の面積がほぼ安定して推移、アパートなどの「共同住宅」が景気と連動して上下を続けるなか、特養老人ホームや診療所、幼稚園といった「その他」区分の面積が増加を続けているのだ。特に2009年度は協会統計の2×4工法耐火建築物新築床面積として初めて、大規模特養需要などで非住宅用途の「その他」が単独で、「専用住宅」と「共同住宅」を合わせた住宅用途面積と拮抗した。公共建築物木材利用促進法の施行などを追い風に、関係者は同分野のさらなる伸びを予想している。「後で『あの時がターニングポイントだった』と思う時期が、まさに今なのかも知れない」。2×4建築の需要動向に詳しい関係者は、非住宅分野の2×4耐火構造床面積の拡大傾向について、そう指摘する。
2×4耐火建築の新築床面積推移(2×4協会推計)をみると、耐火構造認定を取得した2004年度における同認定建築物の総面積1万3900平方メートルの用途割合は、「専用住宅」58.9%、「共同住宅」27.4%、「その他」13.6%で、専用と共同を合わせた住宅用途が86.3%と圧倒的シェアを占めた。しかし、07年度及び08年度に34.5%にシェアを伸ばした非住宅分野の「その他」は09年度に構成比51.0%に拡大、住宅用途床面積と拮抗した。
2×4耐火建築床面積で「その他」がシェアを伸ばしている背景には、大規模特別養護老人ホームへの採用がある。採用理由は、(1)柔らかい木の特質が高齢者及び介護者の身体負担を軽減する(2)RCと比べ建築コストが安い--などだ。特に前者の「木の柔らかさ」については、関東で2×4耐火の大規模特養ホーム建築を発注した社会福祉法人の施主は、「足腰への負担がRCと比べて明らかに違う」と話す。
そして今後、この特養ホーム需要を後押しするとみられているのが、10年に施行された公共建築物木材利用促進法だ。同法では老人ホームや保育施設などの社会福祉施設も「公共建築物」と位置付けているからだ。
国は同法に基づき、国が建築する低層建築物の原則木造化を決定。現在、都道府県レベルの自治体が都道府県方針の策定作業に入りつつあり、豊富な森林資源を抱える自治体は原則木造化、そうでない自治体は既存木造化事業の拡充を図るとみられている。都道府県方針決定後は市町村方針が決められるため、数年後には各自治体が低層を中心とした公共建築の木造化を進めるとみられる。その際、大規模物件はもとより、住民の利用頻度が高い公共建築は安全性の観点から、耐火要件となる可能性が高い。
こうみると今後のさらなる拡大が期待される2×4耐火構造市場だが、現状、顕在化しているのは大規模建築物需要のため、参入にはゼネコンとしての事業者能力が必要だ。このため同市場への参入を検討している2×4工法を扱う中小事業者が同需要を獲得するには、有力な建築事業者や建築士ネットワークに入るといった、現実的な対応を進める必要があるといえる。
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(2011年2月24日 14:36)トラックバック(0)
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