石井靖久さんは大学卒業して現場監督を経験の後、大工の弟子となり、一人前となって工務店(石井建設)を立ち上げた異色の経歴の持ち主。ものづくりに賭ける思いを聞きました。
- 事務所外観
高校を卒業した石井さんは獣医になろうと考え、帯広から札幌に出て予備校に通いながら勉強していました。大通公園のイルミネーションを取り付けるアルバイトをしたとき、現場の方々の一生懸命さに触れながら、「ものづくりで人に喜んでもらえる仕事をしたい」と感じたそうです。
そこで建築の仕事を志しました。「造り始めてお客様に引き渡すまで一人でできる家づくりはおもしろい。自分のやったことが人の笑顔につながる手応えがある」と考え、家づくりを学ぶために建築系の大学に進学しました。
実は石井さん、大工の弟子入りするまでノコギリやカンナなど、大工道具をちゃんと使ったことがありませんでした。なので、弟子入りしてからは初めての体験の連続でした。大学在学中は短期間で設計、卒業作品の制作まであっという間に過ぎていきました。
「30歳で会社を設立する」と心に決めて頑張りました。
- 石井靖久社長。「心」の書が印象的
卒業後地元に戻り、工務店で現場監督候補として採用されました。
大卒の大工を採用したことがない、という理由でしたが、石井さんは仕事が休みの日に大工に頼んで現場を無給で手伝って基本を教えてもらったりするうちに、ますます「大工になりたい」という気持ちが強くなりました。
そこで、入社後1年で現場監督を辞め、その工務店専属の大工に弟子入りして大工の道を目指すことに。
なぜか、最初から階段と和室施工を担当させられました。今は「プレカット」と呼ばれる、あらかじめカットされた階段部材を組み立てていくだけで完成するものが多いのですが、当時は自分で材料をカットして組み立てる必要がありました。これはけっこう技術が要求される仕事です。
「お前大学出たんだろ。何でこんなことができないんだ」と、怒られましたが、「今考えると最初から大事な部分をやらせてくれた棟梁に感謝しています。大工の先輩方も乗り越えてきた修行の道だと思いますが、その時には絶対戻りたくありません。」
結局、9年間同じ大工さんのもとで働き、独立することに。
最初に就職した工務店は、大半がツーバイフォーで施工していました。十勝での普及状況を見ても、「独立してもツーバイフォーで」と思っていました。
そこで、石井さんは会社設立の前に「海外の本場の技術を見てみたい」と思い、カナダに渡ります。
現地のビジネスカレッジに通いながら、週末に建築現場で無給で手伝いました。
材料の目利きを行う(lumber grading)と木材料などの輸出入を行う(FITT)の資格も取りました。
2年半ほど滞在した中で感じたことは、「日本の方が歴史的な点からも木を特性を考えて使っている」ということ。
ただ、材料を無駄なく使う工夫、施工方法など、合理的な部分は学ぶべきことはありました。
- 明るい白い住宅
- 上記住宅の開放感ある階段ホール
石井さんは、「一人で打ち合わせから施工、お引き渡し、アフターと責任を持ってやるから満足のいく家になる」という考えを持っています。
プラン打ち合わせは、3ヵ月から6ヵ月以上かけてじっくり行います。
コミュニケーションを深めることがお客様の満足度を高めると考えているからです。
「もう気になることはないね」と言えるぐらい、いろんなことを検討し、納得した上で着工するのです。
お客様は、現場によく通うようになり、大工と仲良くなる人も多いそうです。「大工とお客様と直接何回も話すなんて、家というか一生に一度の財産を作ってる人の顔がみえることはむしろ当たり前のこと。」と石井さん。
また、建ててからも、近くを通ると石井さんはお客様の家に「必ず顔を出す」というような関係です。
時間をかけるのは、打ち合わせだけでなく、工期も同じです。「3ヵ月もすればできる」と思う人も多い中、石井建設では6ヵ月かかることも珍しくないそうです。
これは大工一人でじっくり作るという考えから。
- コンパクトでシンプルな外観
- 上記住宅の内装も白主体。
薪ストーブの存在感が映える
今後は、お客様が施工にDIYで参加するなど、家づくりの喜びを一緒に共有できるような取り組みをやってみたいのだとか。
「コミュニケーションを深めるだけでなく、家づくりでいっしょに汗を流し、施工した喜びを共有できると、家を建てた後のお付き合いもさらに良好になるし、家のメンテナンスについてお客様自身が興味関心を持ってもらえるのでは」とのこと。
たとえば、塗り壁を塗ったり、床の塗装など、DIYでお客様に参加してもらう取り組みを考えているそうです。
「お客様が納得する良い家を自分の力で」と取り組んできた約10年間。次はお客様も家づくりに参加する新しい形に進化しそうです。
- 古民家風の外観。
顧客の要望に最大限応える
- 上記住宅のリビング。
木と鉄を組み合わせ、ナチュラルで
モダンな空間に
企業データ | 2005年 創業 |
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社内体制 | 社長 ※有資格 二級建築士、枠組壁建築技能士など |
過去の実績 | 35棟 過去3年間 約12棟 |
社名 | 株式会社石井建設 |
住所 | 〒080-0027 帯広市西17条南4丁目42番地23号 |
TEL | 090-4877-1800 |
FAX | 0155-67-6819 |
HP | http://www.ishii-kensetsu-obihiro.com/ |
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